資料T         
テーマ 「学年・学級経営の視点に立った人権教育の充実」(教員研修)
      〜仲間はずれのないクラスにするために(児童理解を深める)〜
1 はじめに
   温かな人間関係を築く学級経営の参考になるような、ビデオを利用した研修会、学  級活動で使える活動例や資料を紹介します。  
 
2 ビデオ視聴
  人権学習ドラマ「ありったけの勇気」 〜上映時間27分〜
 〈あらすじ〉
  小学5年生のクラスメート、直子、真由美、美紀、千恵子たち。クラス対抗のドッジ ボール大会に向けての練習で、リーダー的存在の千恵子は、運動が苦手の美紀に負けて しまう。それをきっかけに、千恵子の美紀に対するいじめが始まる。靴を隠したり、ド ッジボールの特訓をさせたり。それを見ていた真由美は助けに入り、千恵子らに立ち向 かう。一方、直子は見ているだけで一歩踏み出す勇気がなかった。
  やがて、いじめは真由美に向けられるが、真由美は親友の直子を巻き込まないよう、 みんなと距離を置いて一人で無言を貫く。直子は真由美を助けたいがどうすればいいか わからない。しかし、美紀と相談を重ね、先生や両親のアドバイスもあって少しずつ元 気と勇気を取り戻していく・・・。
  その後、いじめが直子にも及ぶが直子は真由美や美紀からの勇気を集め3人分のあり ったけの勇気でいじめに立ち向かう決心をする。試合前の教室でみんなに「『いじめる グループ』が無くならないなら、『いじめないグループ』を作りたいと思います。」と提 案し、みんなが拍手で賛同した。
  千恵子は言い訳をするが、真由美たちの「いじめてるつもりが無くても、相手がいじ められてると思ったらそれはいじめや。」の言葉にがっくりする。だが、直子たちはそ んな千恵子を励まし、みんなで試合へと向かった・・・。

 このビデオを視聴して授業(道徳)を行う場合、どのように授業を進めるとよいか話し合う。
 
 <展開例について>
 ・直子(傍観者)に焦点をあてての授業展開
 ・美紀や真由美(いじめられる立場)に焦点をあてての授業展開
 ・千恵子(いじめる立場)に焦点をあてての授業展開
 <具体的内容の例>
 ・どうすればよかったかということではなく、登場人物の行動を考えさせる中で自分自  身の価値観を見直させるために
 ・登場人物に共感させることで「いじめに立ち向かう勇気」や「いじめないことの大切  さ」に気づかせ、実践への意欲を持たせるために
 ・集団をよりよい方向に導くには、一人一人の意志を持った公正、公平な行動が大切だ  ということを感じさせる教師の話について                  
3 温かな人間関係を築くために
 (1) クラス作りに役に立つ ソーシャルスキルトレーニング        
 
  <ソーシャルスキルとは>
   ・良好な人間関係をつくり保つための知識と具体的な技術やコツ。
  @ 対人関係における配慮のスキル
    (失敗した時に謝る、人が話している時に話を最後まで黙って聞くなど)
  A 人とかかわるきっかけや関係の維持、感情交流を形成するかかわりのスキル
    (みんなと同じくらい話をする、自分から友達を遊びに誘うなど)
 

・仲間の入り方 「いーれて」 低中学年
・あたたかい言葉かけ 「あたたかい言葉のシャワー」 中学年
・上手な断り方  「上手な断り方」  中高学年
 「ソーシャルスキル教育で子どもが変わる」 監修 國分康孝  図書文化より
 
 
 (2) 構成的グループエンカウンターのエクササイズ
  
  <構成的グループエンカウンターとは>
   ・活動の狙いを定めたプログラムをもとに、リーダーが時間や人数を配慮した課題    を提示しながら展開する教育的側面の強いグループ体験。

















 

言葉のプレゼント
<対象>  全学年   
<目安の時間> 15分
<準備物> ワークシート、筆記用具、台紙用画用紙、のり
<ねらい> 友達の良さを見つけ言葉をプレゼントすることで仲間のよさに気づく。
< 活動の流れ>
1 (事前に)
   友達のいいなあ、すばらしいなあと思うことをノートにメモするなどして6人   見つけておく。(男女別に3人ずつ)
2 「言葉のプレゼント」メッセージカードに6人分書き込み、切り取っておく。
3 画用紙(台紙)に記名したものを自分の机の上に置く。
  その上にメッセージカードをのせていく。
4 集まったカードを読みながらのりではりつける。
5 全体シェアリング(振り返り)
  「構成的グループエンカウンターミニエクササイズ56選 小学校版」
                   八巻寛治著  明治図書より
 
 (3) 子どものためのアサーショントレーニング
  
  <アサーションとは>
・他者の基本的人権を侵すことなく、自己の基本的人権のために立ち上がり、自己 表現すること。
           ↓
  子どものためのアサーショントレーニング
   ・子どものうちから自己表現、それを支える自尊感情の重要性について子どもたち    にわかりやすく伝えようとするもの







 

シナリオ「3つの話し方」
 1 非主張的な話し方(受け身的な話し方)     「おどおどさん」
 2 攻撃的な話し方                「いばりやさん」
 3 アサーション                 「さわやかさん」       「子どものためのアサーションワーク」 園田雅代 中釜 洋子著
                       日精研心理臨床センターより
 
 
4 教職員としての配慮事項チェック表      




































 

〈朝の活動〉
 □朝、教室へ行って積極的にあいさつや言葉かけをしている。
 □健康観察で、一人一人を呼名し、個に応じて言葉かけをしている。
  〈学習活動〉
 □授業の始まりや終わりの時間を守っている。
 □名前を呼ぶとき、「 〇〇さん」と呼び、正しい言葉遣いをしている。
 □先生や友達の話をきちんと聞くように指導している。
 □「こんなこともわからないの」等、見下げた言い方をしないようにしている。
 □発言や学習態度のよさを認め、賞賛したり、励ましたりしている。
 □作品や、提出物は、必ず確認し、励ましの言葉を添えている。
〈児童指導〉
 □叱る前に理由を十分聞くことを心がけている。
 □他の人と比べたほめ方、叱り方をしないようにしている。
 □仲間はずれ、暴力、いじめなどを見逃さず、それをなくすための行動をしている。
 □児童とできるだけ遊んだり、生活の様子を観察したりしている。
〈給食〉
 □配膳を指導している。(安全・公平な配膳がされているか。)
 □児童と一緒に食事をして、楽しい会話や児童理解に努めている。
 □後片付けを指導している。(当番活動が公平に行われているか。)
〈清掃〉
 □児童と共に活動して、言葉かけをしている。
 □児童の仕事分担が学年相応に実施されているかを確認している。
〈帰りの会〉
 □自分や友達の頑張り、良さに目を向けた反省をさせている。
 □問題があったり、触れ合いが少なかったりした児童に言葉かけを行うようにして  る。
 □欠席者の連絡を配慮している。
〈教師同士や保護者などと接する場面で〉
 □職員室で、子どもたちの人権を無視した会話をしていない。
 □職業や学歴によって態度を変えていない。
 □外国人ということで偏見をもっていない。
 □暴力を容認するような言動はしていない。
 □同僚や子どもなど、その人の特徴や個性について優劣をつけて評価をしていない。
 □うわさを鵜呑みにしない。
 □人の悪口を言わない。      平成20年度 吹上小学校研究資料集より
 
 
5 図書・ビデオ紹介 
 〈図書〉
  ・「ソーシャルスキル教育で子どもが変わる」   監修 國分康孝   図書文化
  ・「実践 ソーシャルスキル教育」       佐藤正二 相川充編   図書文化
・「グループ体験による学級育成プログラム」   編著 河村茂雄   図書文化
  ・「構成的グループエンカウンターミニエクササイズ56選 小学校版」                                  八巻寛治著 明治図書
  ・「子どものためのアサーショングループワーク」 園田雅代 中釜洋子著
                            日精研心理臨床センター
 
 〈ビデオ〉  
  ・文部科学省選定作品(25分)
    北朝鮮による日本人拉致問題啓発アニメ「めぐみ」
  ・人権学習ドラマ「ありったけの勇気」
    企画 神戸市、神戸市教育委員会   制作 キャン・ケイプランニング